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君不老如花/和田邦坊のデザイン<後期>


君不老如花/ 和田邦坊のデザイン<後期>

 

<後期> 2019年10月12日(土)~2020年2月2日(日)

 

 

 

時 間  9:00~17:00(入館は16:30まで)

 

休館日  水曜日、年末年始2019年12月30日(月)31日(火)2020年1月1日(水)

 

場 所  灸まん美術館/和田邦坊画業館

 

入館料  一般500円、65歳以上の方・身体障害者手帳等をお持ちの方は300円 ・小中高大生・無料

 

 

 

画家でありたいと願いつつ、

自信があったのはデザインの仕事。

香川のデザインは邦坊のデザインと謳われた

その仕事ぶりを一堂に公開いたしましょう。

 

2019年は和田邦坊生誕120年の節目にあたります。これを記念して「香川のデザインは邦坊のデザイン」と謳われた時代に注目した展覧会を開催します。邦坊が手掛けた物産品は、香川県民にとって馴染深いものばかりです。見たことも食べたこともある、あのデザイン、このデザイン。今でも土産物コーナーは、邦坊がデザインしたパッケージで溢れています。新聞漫画家、小説家、讃岐民芸館館長、商業プロデューサー、画家。様々な肩書をもつマルチクリエーターの和田邦坊。なかでもデザイナーとしての仕事は、だれもが知る商品ばかりを手掛けていますが、作者の名前や実績はこれまで語られることはありませんでした。しかし、日本パッケージデザイン協会から特別賞を受賞し、海外のデザイン展の出展を果たすなど、業界のなかでは注目を集め続けています。「僕の自信があるのはデザインだよ」と、得意分野にしていたデザインの仕事。その全貌を新たに発見したデザイン帖を中心に包装紙、原画、デザイン案、絵葉書、ポスターなどの関連資料を前期・後期にわけて展示し、デザイナーとしての足跡を改めて検証するとともに知られざる邦坊デザインの魅力を探ります。

 

ABOUT  君不老如花

展覧会タイトルは「君老いず花の如し(きみおいずはなごとし)」と読み、邦坊がデザインを手掛けた「長寿手帳」(香川県の福祉手帳)の表紙にも同じ言葉が使われています。いつまでも花のように美しく若々しくあってほしいという願いを込めた言葉です。今回は、色褪せない邦坊のデザインにオマージュを込めて名付けました。

いまでも使われている長寿手帳は和田邦坊のデザイン書体が採用されています
香川県公式HP  https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir1/dir1_3/dir1_3_4/wfssqo160912152905.shtml

 

Commemorative event of the 120th anniversary of Kunibo WADA’s birth
Lasting Achievement of KUNIBO WADA

Hoping he would want to be an artist, what he had confidence in was the work of design.
We will show his performance that Kagawa’s design is considered to Kunibo’s design.

2019 is the memorial year of 120th anniversary of Kunibo WADA’s birth. We hold an exhibition focused on the time when Kagawa’s design was considered to Kunibo’s design.
Almost all products worked by Kunibo are familiar to residents of Kagawa prefecture. We have seen his design. We have eaten something in the package with his design. The sections for souvenir are still full of packages designed by Kunibo.

Mr. Kunibo WADA had multiple roles with a variety of title, such as cartoonist, novelist, curator of Sanuki Folk Craft Museum, commercial supervisor, artist.
Even though his job as a designer was always working on the products known by everyone, the name of designer and actual performance have not been talked until now.
However, he has gotten the attention in the industry, as he was awarded a special prize from Japan Package Design Association and participated in a design exhibition held overseas.

What he had confidence in was design and he specialized in the work of design. We explore the entire details through various his work and information.

ミュージアムトーク


開催日 2019年11月10日(日)12月8日(日)2020年1月12日(日)2月2日(日)
時間 各日14:00(約45分)
参加費 無料(但し、入館料が必要)
予約 不要

担当学芸員より展示解説を行います。
各日、先着10名様にプレゼントを贈呈しています。
お気軽にご参加ください。

君不老如花/ 和田邦坊のデザイン<後期>展示風景


展示紹介


デザイナーの心得。記録と整理。

美術館のコレクションは、邦坊の遺族から引き継いだ絵画以外の作品も収蔵しています。例えば、パッケージデザインの原画やラフ案などをまとめた紙台帳。これは、デザインの原画だけでなく当時の包装紙も添付している台帳で邦坊の作品集、ポートフォリオともいえる存在です。おそらくこれまで自分が手掛けてきたデザインを振り返る、過去の記録を残すという目的があったと考えられます。邦坊は、デザインの関係資料だけでなく、東京時代に発表した新聞や雑誌の切り抜きなどもマメに分類して保管しています。残された資料や作品を調査していくと、自身の仕事を「蓄積」「整理」するという几帳面な性格も想像することができます。

Recording and Organizing were Rules as a Designer.
Museum stores the works other than pictures taken over from his bereaved family. To give an example of the works, they are original pictures of package design, rough drafts and wrapping papers. These can be a portfolio, collection, of Kunibo. He probably intended to look back on the designs by himself until then and leave his past records. According to the information, we can imagine his methodical character that he “accumulated” and “organized” his job.


名前は知られていないけれど、世界の和田邦坊?!

邦坊がデザインした香川県の物産品は、昭和40年ごろからパッケージ研究の第一人者である岡秀行からも注目され数々の専門書にも登場しています。また昭和57年(1982)日本パッケージデザイン協会から「永い間、ユニークなイラストとパッケージの制作にあたって、高松でのひとつの雰囲気をつくりあげている」という評価で特別賞を受賞しました。そして、平成8年(1996)海外の視点で評価された日本のデザイン展「Japanese Design」(フィラデルフィア美術館の企画)では、邦坊がデザインしたショッピングバッグがパッケージ部門から出展されています。香川では見慣れた邦坊のデザインですが、意外なことに世界デビューを果たしています。

Mr. Kunibo WADA is Famous in the World, though His Name is Unknown.
The specialties of Kagawa designed by Kunibo have been often covered in the specialized books of package since around 1965.Moreover, he was awarded a special prize from Japan Package Design Association in 1982 and the paper bag designed by Kunibo was exhibited at “Japanese Design”, temporary exhibition of Philadelphia Museum of Art in 1996. The paper bag, which is familiar to residents in Kagawa, unexpectedly made a global debut.  


香川らしさを追い求めて

邦坊のデザインの特徴は、香川らしさを追求したものでした。自身も「東京の生活が長かったので讃岐の良さ、弱さは心得ている」と話しており、香川を離れていたからこそ見えてくるものがあったようです。また「観光県香川だけに、都会の人が見ても“いいなあ”と関心するのでなくてはいかん」と力説し、民芸の考え方を取り入れながら、香川のイメージをデザインに落とし込んでいくようになりました。パッケージデザインは、香川の観光地・名勝地、伝説、まつり、文化など様々な題材がモチーフになっています。地元の人にとっては、懐かしく誇りの持てるデザインに。県外の人にとっては、香川らしさを裏切らないデザインに。また、方言は香川の個性として「ざいご(田舎)」や「ひょうげ(おどける)」などを商品名やキャッチコピーに取り入れています。

Searching for Uniqueness of Kagawa
The characteristics of design by Kunibo was to search for uniqueness of Kagawa. He himself talked that he understood the goodness and weakness of Kagawa because he lived in Tokyo for a long time. He could see something all the more because he left Kagawa.
The package designs were in the motif of various subjects such as sightseeing spots of Kagawa, tradition, festival and culture. Moreover, he adopted dialects as the name of products and copy to express the uniqueness of Kagawa.


邦坊流!?デザインの成功とは…


聞き取り調査では「和田先生はどこか遠くから物事をみている人だった」という感想をよく耳にします。邦坊は時代感覚に優れた人物でしたが斬新すぎるアイデアにクライアントがヤキモキしてしまうことも少なくありませんでした。実際「僕はデザインを渡すときに依頼主が不満そうな顔をしているときは成功で、気に入ってニコニコしているときは失敗やと思っとるよ」と語っています。店側が期待外れのデザインだと思っていても商品の売れ行きやお客の喜ぶ姿をみて、そこで初めて邦坊の仕掛けに「なるほど!」と納得できたといいます。丁寧に解説するタイプではなかった邦坊ですが、当事者であるクライアントのひたむきな思いを受けながら冷静に俯瞰した視点を持ち、いまこの商品に何が求められているのか、誰にむけて売り出していくべきか、様々な思案を重ねていた様子がデザインひとつひとつから想像することができます。

Kunibo Style? What was Success of Design?
Kunibo had a superior sense of the time, but his idea was often too unique for clients to understand. Actually, he said that he thought it was successful when his clients had an anxious face after he gave a design he made and it was failed when they had a happy face.
Kunibo was not a person who politely described something, but he had a calmly perspective viewpoint with the dedicated thought by his clients.
We can imagine by each design that he repeatedly considered what was asked to the products and to whom the products were offered for sale.


アンテナ錆びず死ぬまで現役

邦坊と仕事をした関係者からは「あんな天才は二度と現れない」という言葉をよく聞きます。これは大袈裟な言い方ではなく同時代に生きた人にとって「和田邦坊」という人物は圧倒的な存在だったということが分かります。しかし、あっと驚く仕掛けやクスっと笑えるユーモアは、常に真剣勝負のなかで閃くアイデアで、決して才能だけなく努力の積み重ねから生まれたものでした。邦坊は「時代感覚は地震計の如く敏感」という持論のもと、80歳を過ぎても精力的に仕事をこなし、流行を知るために週刊誌を読み漁っていたといいます。まさに「死ぬまで現役」を貫き通す生き方で、最後までアンテナを磨き続けた人生でした。

Keeping His Eyes Open and Never Retired.
The people who know Kunibo say that such a genius never appear. This is not an exaggerate expression and we understand that Mr. Kunibo Wada had a great presence for the people who lived in the same period.
Kunibo read many magazines to get the information about popularity after the age of eighty under his own theory that the sense of the time was sensitive like a seismometer.
He had worked as a designer throughout his life.