玉藻焼コレクション!
邦坊が絵付けた玉藻焼コレクション!
玉藻焼は、現在も東かがわ市で作陶されている香川の焼物です。邦坊がプロデュースしていた茶会では、この玉藻焼の茶碗をよく使っていました。緩い素朴な図柄は、すべて邦坊が絵付けしています。工房の主人に話をきくと、邦坊はいつも煙草を吸いながらスラスラと茶碗に絵を描いていたといいます。紙に絵を描くときと同じように、創作活動には煙草は欠かせないアイテムだったようです。黒い茶碗は、茶会の亭主用に作られた特別な一客です。月の下に佇む馬は、可愛らしい象形文字のようなフォルムです。
玉藻焼は、見た目だけでなく柔らかな触り心地や軽さも特徴のひとつです。ふっくらとした表面は、優しい邦坊の絵とも相性がぴったりです。山を描いた茶碗をみると五山の送り火のように山の斜面に「坊」という文字が入っており、サインも図案と一体化した遊び心がある面白い作品です。邦坊は、戦後に数多くの茶会のプロデュース(かまど茶会、灸まん卯の花茶会、白栄堂茶会など)を手掛けていますが、実は若い頃から茶道への関心を持っていました。東京日日新聞時代の上司・小野賢一郎から陶芸研究の指導を受けており、業界紙『茶わん』に漫画を掲載しています。