豆芳(ひろば店)最終訪問!
| 学芸室より
味もひょうげな、ひょうげ豆
「豆芳」(いまは松浦唐立軒の商品名)は、和田邦坊がプロデュースした豆の専門店で、看板商品といえば「ひょうげ豆」です。日本の三大奇祭?「ひょうげまつり」が名前の由来となり、お土産だけでなくおうち用のお茶菓子としても親しまれています。一粒食べるとポリポリが止まらない、魅惑の豆菓子…。私はしょうが味と味噌味が大好きです!実は、先日(2020年5月15日)豆芳ひろば店が閉店となりました。商品は今まで通りキオスクなどで購入できるということですが、約50年の歴史に終止符を打ったそうです。
※豆芳誕生秘話については『和田邦坊デザイン探訪記①』をご参考ください。とても濃いエピソードが満載です。
以下、探訪記①には載せていないこぼれ話をご紹介します。
邦坊がプロデュースした外観・内装
店先をぼんやり照らす提灯。赤と青のグラデーションは、邦坊がしかける定番のデザインです。ピーナツの絵柄を描いた壁面もオーダーメイドに設えたものです。横長の化粧板ですが、これもひとつの作品のように見えてきます。タイトルをつけるとしたら《ナッツ・豆》とか?ちなみに画材は、漆(塗料)で描かれています。
空っぽになったショーケースやガラス瓶。むかしは豆をギュウギュウに入れて量り売りもしていたのかもしれません。ザラザラザラーという音が聞こえてきそうです。照明の傘の部分をみると新しく仕立て直しているものばかりですが、かつては邦坊の絵柄が描かれていました。店内を優しく照らす三度笠、箱型、行灯、提灯などの照明は、邦坊のこだわりのデザインです。それぞれ直筆の絵付けがされている贅沢な仕様でした。
香川らしい豆菓子を作る
入口横にある行灯照明は、おそらく現存する直筆の絵柄です。「よくぞ令和までもった・・・」と思いつつ、経年の風合いが店の老舗感を出しているようにも見えてきます。店の雰囲気は、まさに民芸調。壁をみる障子格子や飾り金具の意匠がチラホラ。あまり明るすぎない店内は、素朴なお店を“狙って”演出しています。「豆芳」という屋号も邦坊が命名。創業者の近藤正芳氏の名前と豆を組み合わせた2文字です。ロゴは「益々繁盛」の縁起を担ぎつつ、豆の計量器として使っていた升の形を使っています。店主と商品を繋ぐ工夫がお上手!
御礼
豆芳ひろば店さんには、まちあるきイベントなどで大変お世話になりました(写真は2018年の様子)。調査に関しては、前社長様はもちろんのこと、現社長様にもご協力いただきました。お店に行くたびにスタッフの方から「応援しているよ」と声をかけていただくなど、楽しい思い出がいっぱいです。この場を借りて改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。