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2021/12/14和田邦坊ナビゲーター育成PJ②講評会レポート

ナビゲーター育成PJの2回目はじまり、はじまり~

2021年12月14日(火)和田邦坊ナビゲーター育成プロジェクト②の講評会を高松市コンベンションビューローの会議室で開催しました。今回は、ゲストを招いたトークセッション形式にしたのでワイワイ意見交換ができ、とてもいい雰囲気を作ることができました。


スケジュール

1、虎の巻②の講座(30分)
まずは前回の復習として「ウチの女房にゃ髭がある」の歌詞をみながら全員で合唱しました。みなさんYouTubeで練習してきたようで元気よく歌っていただきました。一人で歌うより楽しい・・・(^^)そのあとは、今回もテキストの「虎の巻」を使って授業をしました。テーマは「―邦坊さんのデザイン評価についてー」。デザイナー和田邦坊の顔について基礎知識を紹介しました。「画家でありたい」といいながら「僕の十八番はデザインだよ」と言っていた邦坊。デザイン本や受賞歴を丁寧に読み解くと、いろいろ思わぬ発見もあったはず・・・


2,講評会(90分)
今回はゲストを招聘して和田邦坊のパッケージデザインについてディスカッションしました。虎の巻のテーマを引き継いで「見て・食べて楽しい和田邦坊のデザインー令和の時代まで続くデザインの魅力とはー」と題して、実際に販売されている商品の数々を目の前にしてトークセッションしました。

講師は、県内外で活躍するデザイナーゆうさかな氏をお招きしました。さかなさんは、県外から移住してきた方ということで、デザイナーの視点だけでなく県外との事例を紹介しながらお話していただきました。



※今回も大量の資料を持ち込みました。カートがないと運び込めませんでした。

ゲストのプロフィール

ゆうさかな氏 瀬戸内の有人島138島や四国の農山漁村の美しい風景を撮影し、一次産業に関わるデザインを生業としている。Webサイト「物語を届けるしごと」では、四国や瀬戸内の島々の美しい風景や食文化を紹介しており、世界160カ国以上からアクセスがある。情報発信だけでは目の前の風景を次世代に残せないと感じ、四国の仲間と四国食べる通信を立ち上げ、食べ物と物語を発送する仕事をはじめる。徳島県唯一の村、佐那河内村(さなごうちそん)の季刊誌「さなのごちそう便り」編集長。日本人間力大賞2015農林水産大臣奨励賞受賞。
物語を届けるしごと https://yousakana.jp/


当日の振り返り…

今回の授業のために栗林庵やキオスクにいって和田邦坊がパッケージデザインを手掛けている商品をたくさん購入しました。県内在住であれば、あれもこれも知っている商品のはずですが、意外とじっくり見る機会もないものです。資料として観察!観察!いろいろ話す内容を決めながら楽しくお買い物をしていたのですが、実は当日になって判明したこともあり・・・


※よく見かける紙袋もみんなで鑑賞。大津絵の釣鐘弁慶がモチーフになっています。

まず、美術館がある琴平・善通寺を代表して「へんこつ屋」をご紹介。実は、今日のこの日に廃業されるということを買い物した当日に知りました。事前に予約していたお饅頭10個が最期の商品でした。いろいろ和田邦坊の随筆に登場する名物店主のお店だったので廃業はとても残念でした。


※最期のおまんじゅう…。

最期の日ということで偲んでいたら、女将さんから「もう要らないから~どうぞ~」と余った包装紙や栞を譲っていただきました。メインで使っていた包装紙は、和田邦坊のデザインではなくお店にきた有名人のサインをレイアウトした絵柄になっています。女将さんは、昔々の人も多くてだれのサインか分からないと言っていましたが金子正則知事の名前もあります(ちなみに包装紙には邦坊のサインはありません)。


三惚「土地に惚れ、女房に惚れ、仕事に惚れる」

さて、へんこつ饅頭で紹介したかったデザインは栞でした。初代店主が愛した言葉「三惚(さんぼれ)」を漫画にしている栞です。お饅頭の説明はまた別の栞で用意されていますが、この栞は邦坊の漫画絵だけを印刷しています。少し皺がかった和紙のような風合いの紙で、1枚だけでも作品として飾りたくなる栞です。
※お店の建物は国指定登録有形文化財(建造物)でした。
文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/116924


閉店したへんこつ屋・・・餡子が美味しいおまんじゅうでした。

まずは、商品をずらりと並べて包装されている状態を観察。「あ、このお菓子は紐がかかっているね」「まえは紙紐だったような気がするけど・・・ゴムになってる?」など鋭い意見もチラホラ。包装した状態、つまり完成形からみることで消費者の眼にどのように見えるのかを話しあいました。


※みんなに見守られながら開梱しました。

包装を解きながらパッケージの構造を分析します。包装紙、掛け紙、かけ紐、箱、個包装、栞・・・。1つの商品には、いくつものデザインが仕掛けられています。そして、それが統一感を持たせてコーディネートされています。このようにゆっくり包装を解く機会などはなかったので、わたしも緊張してしました。商品のエピソードを紹介しながら、デザインの意図、仕掛け、企みなども全員で話し合いました。


※モチーフは唐果物の包装紙。コースターにも注目!

弊社の包装紙も紹介!看板商品「灸まん」の包装紙は、みなさんご存じでしたが、意外と知られていないおせんべいのデザインや包装紙などもあり「灸まんだけだと思っていた~」という声も多数。観光地にある物産店ということで「ここでしか買えない!」というご当地戦略も強くあったようです。今でも受け継がれている商売の方法や商品のラインナップを紹介しながら解説しました。


※ラッピングバスに使ったデザインです。

実は、講義の当日に「ひょうげ豆」が廃版になっていたという事実を知りました。栗林庵に行っても、キオスクに行っても販売していなかったので「おかしい・・・」と思い、販売会社に問い合わせをしてみると「生産終了」という返事でした。今日のこの日まで知らなかったことも反省点ではありますが、、、ショックから立ち直れないまま登壇しました。


ぽりぽり止まらない系のお菓子でした。味もひょうげなひょうげ豆、というキャッチコピーも秀逸!

ひょうげ豆は、もともと「豆芳」という会社が作っていたお菓子になります。平成に入ってから創業者一族からの手を離れていましたが、新しい会社になってからも豆芳事業部としてパッケージも変わらず生産・販売していました。


ひょうげ豆に入っていた栞

和田邦坊が手掛けた商品は、あれもこれも当たり前のように私たちの暮らしにあり続けていましたが、いま世代交代や時代に合わせた転換期でもあり人知れず消えつつあります。ひょうげ豆は、香川の歴史・民俗、方言を活かした絶妙なネーミングで、またカラフルな包装紙の色合いは邦坊独自の戦略が隠されたデザインとして注目していました。原材料の豆にもエピソードがあったので実物の商品が欲しかったです・・・最期の買い物もできず残念でした。


在りし日の豆芳のお店

おわりに

盛りだくさんの内容があったので記録音声をすべて文字おこししたいくらいですが、とりあえずブログ用のレポートはここまで。。。コロナ禍でなければ、お菓子を食べながらデザインの講評会をしたかったのですが、またそれは別の機会(イベント)として企画できればいいなと思いました。デザイナーの視点でみるパッケージデザインは、私も大変勉強になりました。美術館だけでなく様々な分野で和田邦坊研究ができるよう、これからの活動も頑張らねば・・・!ナビゲーター育成事業こそが、この第一歩の種まきのような感じです。最後に、取材にきていた記者さんにお願いして全員で記念撮影をしました。マスク姿が残念ですが、和気あいあい。


教材のパッケージを手にして集合写真!いい雰囲気!ゲストのさかなさんもご参加ありがとうございました!このブログでUpした※画像は、さかなさんより提供いただきました。