2022/07/02菊池寛記念館の文芸講座
| 学芸室より
文筆家・和田邦坊の作品を楽しもう!
2022年7月2日(土)サンクリスタル高松3階の視聴覚ホールで「声に出して読みたい邦坊―文筆家・和田邦坊の作品を楽しむ―」と題した文芸講座を当館学芸員が担当しました。去年も招聘を受けていたのですが、今年はせっかくの場所(会場の隣が菊池寛記念館)ということで和田邦坊と菊池寛の話を紹介しました。
朗読で和田邦坊の作品を…
今回は、当館学芸員と朗読ユニットを組んでいる真鍋康正氏と菊池寛記念館学芸員の槲田瑶子氏をお誘いしてスペシャル企画でお送りしました。市報では、企画の詳細をPRできていなかったのですが①和田邦坊についてのプチ講座→②朗読→③トークセッションという内容で開催しました。そもそもどうして朗読を取り入れたかというと・・・和田邦坊の文筆家としての仕事を紹介するにあたって、やはり作品紹介が必須だと考えました。しかし、展示になると見開きしか資料を公開できず、またなかなか流通している本でもないので「お気軽に読んでください」とも言えず、、、そこで朗読にたどり着きました。ユニットの活動は、今回で2回目ですが、真鍋さんのいい声のおかげで邦坊さんの作品を生きた言葉で表現していただきました。私も聞いていて楽しかったです。面白いところになると会場からもクスっと笑い声も聞こえてきたので嬉しかったですね!(^^)
邦坊、菊池寛に世渡りを問う!
紹介した作品は和田邦坊が菊池寛を取材した記事「世渡り問答―菊池寛氏の巻―」です。邦坊の十八番といわれるインタビュー記事で大日本雄弁会講談社の『KING』(昭和9年)に掲載されています。朗読は場面ごとに区切り、そのつど解説とトークを入れました。学芸員同士で「(悋気な性格で有名な菊池寛ですが)インタビュー中の様子はどうですか??」と質問し合ったり、読み手の真鍋さんからも「同郷ということで甘えているのか、ちょっと邦坊さんは菊池寛に対して(ため口で)失礼な感じだね」という感想をシェアしながらすすめました。また、記念館から提供を受けて貴重な写真も投影し、当時の菊池寛の仕事ぶりや趣味の競馬、将棋の話なども楽しく紹介することができました。菊池寛にまつわる定番の話も多かった記事でしたが、邦坊ならではの質問の仕方や話し方も発見できたいい時間だったと思います。
記念館と美術館の交流の機会…
また、菊池寛記念館と灸まん美術館で所蔵する資料の調査をすると、思わぬ資料から和田邦坊と菊池寛を繋ぐ事実が分かったので、その新情報もお話しすることができました。(菊池寛の銅像にまつわる記事やグッズ作成など…!)このような文芸講座は、和田邦坊を美術館外で広報できる貴重な機会であり、郷土の偉人を介した記念館と美術館同士の交流の場ともなりました。
急なお誘いにもかかわらず快く登壇に協力していただいた槲田さん、ありがとうございました。また、会場設営やパソコン調整など記念館の皆様にもお世話になりました。ユニットの相方でもある真鍋さんも多忙なスケジュールを押さえて講座に参戦いただきました。次のシリーズもどうぞよろしくお願いします。またひとつレベルアップしたユニット活動を目指して、次回も楽しみましょう(^^)えいえいお~!
おわりに
菊池寛と和田邦坊の関係性は、まだまだ検証する必要が多いところがありますが、今回の講座では邦坊という人物・文章を手掛かりにして故郷の偉人、日本の歴史や文化を楽しく伝えることができたかなと思います。今年は、和田邦坊・没後30年。これからも邦坊画伯の魅力を様々な媒体で紹介していきたいと思います。次は、あの仕事をして、あの準備にとりかかります!