春かすみ・夏の夜風<前期>
| 企画展
企画展・閉室のお知らせ
新型コロナウイルス感染拡大防止のため2020年4月20日(月)から当面の間、
企画展「春かすみ・夏の夜風」を<臨時閉室>とさせていただきます。
展示を楽しみにされていたお客様には大変申し訳ありませんが、ご理解の程宜しくお願いいたします。
なお、今後の開館予定日に関しましては、決まり次第 改めてHP・FBにてお知らせいたします。
一日も早く事態が収束し、安全な状態で皆様にご来館頂ける日を楽しみにしております。
どうぞご理解・ご了解のほど、よろしくお願いします。
なお、灸まん美術館ギャラリーの4、5月の予定も大幅に変更しております。
詳細については、公式HPやFBでご確認ください。
2020年4月19日
和田邦坊画業館コレクション展vol.2
春かすみ/夏の夜風<前期>
<前期>2020年3月1日(日)~5月19日(火)
<後期>2020年6月25日(木)~9月22日(火)
時 間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 水曜日、展示替え期間2020年5月20日(水)-6月24日(水)
場 所 灸まん美術館/和田邦坊画業館
入館料 一般500円、65歳以上の方・身体障害者手帳等をお持ちの方は300円 ・小中高大生・無料
絵を見るということは、
その人の心にふれることである
本展は、初公開の写真資料とともに和田邦坊画業館の絵画作品を紹介いたします。時事漫画家、小説家、農事講習所教員、讃岐民芸館館長、商業デザイナー、画家など多彩な才能を発揮した邦坊ですが、自身としては「画家でありたい」と願っていた人物です。その画業は、すべてのキャリアに繋がる自由奔放な作品ばかりを残しています。水墨、水彩、クレヨン、鉛筆など画材道具も表現方法もジャンルにとらわれていません。エネルギーに溢れた色彩、飄々とした線画、そして絶妙な間を持たせた空間表現、ゆるい漫画絵のような作品もあり、ただの日本画家とは言い切れない、底知れぬ魅力と面白さを持っています。目指した画家は富岡鉄斎と言い「芸術は一生もの、死ぬまで勉強しなければ」と常に新しいものを求め続けた画家・和田邦坊。春から夏の季節を愛でながらその画業をお楽しみください。
ミュージアムトーク
開催日 | 2020年4月12日(日)5月10日(日) |
時間 | 各日14:00(約45分) |
参加費 | 無料(但し、入館料が必要) |
予約 | 不要 |
担当学芸員より展示解説を行います。
各日、先着10名様にプレゼントを贈呈しています。
お気軽にご参加ください。
※2020年3月8日(日)の開催は新型コロナウイルス感染予防・拡散防止のため中止とさせていただきます。
作品紹介
椿襖絵 昭和40年代
邦坊が描く絵画には、中村草田男、種田山頭火、正岡子規、松尾芭蕉、小林一茶などの俳人・歌人たちの作品が賛(絵の余白に書かれた文字のこと)として登場しています。邦坊も辞書や全集を読みながら句作に励んでいましたが、あまり自分の句を採用していません。しかし、椿を描くときだけは自作の「慾去りし 我と思えど陽だまりの 椿の紅に心動けり」を繰り返し使っています。邦坊は、健康と引き換えにして東京時代の成功を得たと考えており「世の中は名誉でもなく金でもない、精神的な安定が一番大切である」「一切は空である(すべての欲がなくなった)」と何度もインタビューで語っていますが、句のなかでは椿をみると心が動かされ欲がでてしまったと歌っています。画家として「この花を描きたい」という画欲が生まれたということでしょうか。椿の紅は、無欲の境地に立っていた画家の心も動かした美しさでした。
アトリエ風景写真 昭和50年代
邦坊の制作現場は、讃岐民芸館の館長室(現・惜々亭)と自宅近くに構えていたアトリエになります。昭和49年(1974)に民芸館館長を退職してから作ったアトリエは、レンガ作りの平屋の建物で、洋室のリビングと和室を備えていました。邦坊のイメージとしては、日本的な設えを想像してしまいますが意外にも内装は赤色、黄色、水色に塗装されたカラフルな壁や北欧デザインの照明などモダンな空間で統一されていました。そして、自身が描いた作品もあちらこちらに展示しておりマイワールドを構築している様子が分かります。写真に写る邦坊は、いつも煙草をふかしています。雑然と丸めて棚に押し込んだ和紙、ごちゃ混ぜに床に広げたアクリルや顔料などの画材道具。邦坊の作品は、この場所から生まれたのでした。
葱の花
賛は、川端茅舎の句「葱の花ふと金色の仏かな」です。春の葱は、太い茎のうえに球形の白い花を咲かせます。蕾は、橋の欄干の擬宝珠や宝珠に似ているので優しい仏様のイメージに繋がります。
青春 昭和47年(1972)
個展のために描き下ろした作品。タイトルから推測すると、曲がりくねった太い線は紆余曲折ある人生を模した道を表現しているかのようです。また、線の両側をみると松葉のような図形もあるので、隆々たる枝ぶりから松の姿にも見えてきます。画面の上下だけでなく全体的に黒丸がアクセントに描かれています。これは邦坊がよく使っていたデザインに共通する図案ですが、抽象画の作品のなかでも取り入れていることが分かります。青春時代に経験する様々な出来事や感情を色とりどりの形や色に込めた奇想あふれる作品です。
酣春
やわらかな春のイメージには遠いような濃い配色で構成されていますが、ところどころに見える点描や木々の表現から控えめに咲く山桜の様子を想像することができます。画面左の山には菅笠をかぶった遍路たちの姿が見えます。春は巡礼を始める季節であり、遍路の存在は春そのものです。タイトルの「酣春(かんしゅん)」とは「春たけなわ」と同義語で、1年で最も春らしい季節という意味を持ちます。また《酣春》は、対の作品として《秋光》という絵画があります。
初公開資料 写真コレクション 昭和40~50年代
画家・和田邦坊の姿は、様々なスナップ写真に残されています。スケッチする姿、煙草を吸う姿、茶会に出歩く姿などなど。私たちが思っている以上に邦坊は有名人だったので、撮られることには慣れていたのかもしれません。また、邦坊が撮影したものか分かりませんが風景写真も数多く持っていました。花、山、動物など被写体は様々ですが、どこかでみた絵の画題ばかりです。現場で描いたスケッチだけでなく、写実的に形や色を確認するために写真資料も絵画制作の材料としていたことが分かります。
一空庵 扁額 昭和20~50年代
邦坊は、昭和13年(1938)に帰郷してから金刀比羅宮の近くに「一空庵」と名付けた庵で過ごしていました。庵は「多忙な東京生活のなかで健康や精神的安定が一番大切である、世の中では金も名誉も一切は空なり」という思いを込めて命名けています。邦坊が描く絵画のなかには、落款や署名とともに「於一空庵」という言葉も記されています。庵は、住まいを移したため現存しませんが、引っ越しの際に持ち出した扁額だけは新居の玄関前に掛けていました。いつまでも初心を忘れないようにという思いから絵画のなかにも「一空庵」と入れていたのかもしれません。
展示風景
展示リスト
春かすみ・夏の夜風<前期>
番号/作品名/分類 /点数
1 ウチの女房にゃ髭がある 書籍 1
2 扉絵《成金栄華時代》 書籍 1
3 藝者屋の先生 書籍 1
4 月刊香川 冊子 1
5 マッチ箱 小物 5
6 長寿手帳 君不老如花 冊子 1
7 梅図染付花入 陶芸 1
8 春芽萌花入 陶芸 1
9 竹図風炉先屏風 工芸 1
10 書 君不老如花 書 1
11 梅 絵軸 1
12 好日 絵軸 1
13 梅 絵軸 1
14 白梅紅梅 絵軸 1
15 梅 絵軸 1
16 葱の花 額装絵画 1
17 花遍路 額装絵画 1
18 寺の夜桜 額装絵画 1
19 唯我独尊 額装絵画 1
20 椿 色紙絵 1
21 花御堂 色紙絵 1
22 桜 色紙絵 1
23 花遍路 色紙絵 1
24 スケッチブック スケッチブック 14
25 椿襖絵 襖絵 1
26 一空庵 扁額 扁額 1
27 藪椿 額装絵画 1
28 藪椿 額装絵画 1
29 裸婦デッサン デッサン 3
30 文房具 画材道具 3
31 サクラクレパス 画材道具 1
32 クレヨン画 画材道具 1
33 スケッチノート 画材道具 1
34 落款 画材道具 8
35 アトリエ風景パネル 写真パネル 1
36 アトリエ風景パネル 写真パネル 1
37 遍路道 額装絵画 1
38 日永にして漁家静かなり 額装絵画 1
39 山雲春光 額装絵画 1
40 港々に女あり 額装絵画 1
41 城のあるロマン 額装絵画 1
42 青春 額装絵画 1
43 酣春 額装絵画 1
44 顔料 画材道具 8
45 すり鉢 画材道具 1
46 絵皿 画材道具 1
47 水入れ 画材道具 1
48 夏茶碗(絵の具入れ) 画材道具 1
49 バケツ 画材道具 1
50 連筆 画材道具 1
51 梅皿 画材道具 1
52 筆 画材道具 4
53 膠鍋 画材道具 1
54 水飛胡粉 画材道具 1
55 定規 画材道具 7
56 膠 画材道具 8
57 ブラシ 画材道具 1
58 植木鉢(御厩焼) 画材道具 1
59 眼鏡 画材道具 1
60 虫眼鏡 画材道具 1
61 カシュー 画材道具 5
62 中央トキペン 画材道具 2
63 平筆 画材道具 2
64 漆桶 画材道具 1
65 三角定規 画材道具 2
66 定規 画材道具 3
67 文房具 画材道具 1
68 ポスターカラー 画材道具 9
69 ネオカラー 画材道具 3
70 写真コレクション 写真 38