2021年7月3日（土）菊池寛記念館（サンクリスタル高松3階）にて当館学芸員が講座を担当しました。「和田邦坊が遺した漫画・小説―旧蔵資料の調査報告をかねて―」と題して、開催中の企画展のPRも入れて構成しました。いつもと違う演題になるので緊張してしまいましたが、文学館の職員さんたちの万全の体制のおかげで無事に終えることができました。皆様、長時間お付き合いありがとうございました。

菊池寛と和田邦坊

菊池寛記念館は、香川県出身の菊池寛を紹介する文学館です。菊池寛は、邦坊と同時代を生きた文豪。実は、邦坊とは何度も取材で会っている人物です。講座の前に記念館を拝見すると、菊池寛は大変気性が荒い人物だったと知りました。ですが、邦坊の記事を読むと優しそうな近所のおじさんというイメージだったので意外でした。やはり同郷ということで他の人よりも心が許せる関係だったのかもしれません。そのような話も織り交ぜながら、二人の関係を紹介しました。

資料の見どころ

また、１年かけて整理した新聞切り抜きの資料報告も行いました。資料の見どころ、発見を簡単にまとめた時間でしたが、内容だけでなく資料の状態にも着目できる点をいくつか披露しました。我ながら美術らしくない視点だったと思いますが、資料の観察をお話できて楽しかったです。

代表作『ウチの女房にゃ髭がある』について

文学館で開催する講座ということで、代表作『ウチの女房にゃ髭がある』についても触れました。戦前と戦後で上映された映画は、原作と違う点が数多くあること。二回目の映画は、前回の主題歌のオマージュということで和田邦坊の原作として制作されていないこと、大ヒットした主題歌について紹介しました。『ウチの女房～』の話は、まだまだややこしいネタがたくさんあるのですが、今回はこの程度に収めてみました。私としては、いままでモヤモヤしていたことを披露できてスッキリです（＾＾）それから最後に、和田邦坊が手掛けた原作を少しだけ朗読しました。『ウチの女房にゃ髭がある』というタイトルにだまされないで！というくだりは、前回の田山先生の「菊池寛のジャーナリズム」というお話をオマージュして紹介したつもりです。ともあれ、邦坊の小説は、単純なカカア天下の話ではなく、これまで出会った人たちの影響を受けて、メッセージ性のある作品であること熱く語った気がします。本来であれば映画も小説も実際にみて、読んでいただくとそれぞれの違いも面白さも分かるのですが、90分という時間では難しかったです。また、別の機会にゆっくりお話してみたいと思います。

マスクの功罪？

さて、こちら講座はオンライン配信をしておりません。いろいろお問い合わせもあったようですが、また別の機会ということでよろしくお願いします。当日は、マイクやスピーカーのおかげでいろいろ用意していたデータを披露できた楽しかったのですが、やはりこの時期の開催ということでマスク着用の講座は苦しかったです。マスクをしてお話するということがこんなに苦しいとは思ってもみませんでした。何度もお水を飲んで休憩していたので、話の流れもスムーズではなかったのですが皆様最後までご清聴ありがとうございました。マスクは文明人の勇気と菊池寛の小説でも紹介されていましたが、本当に早く、一刻も早く。コロナの終息を願ってやみませんでした。

御礼

今回の講座は、コロナ禍ということでアクリル板の設置や座席数を減らすなどの様々な対策をして開催されていました。職員の皆様には大変お世話になりました。改めて感謝申し上げます。また、参加していただいた皆様にも御礼申し上げます。質問状もありがたく拝受しております。机がなかったので書きにくかったと思いますが、１枚１枚じっくり読んでこれからの活動に活かしたいと考えております！

令和3年度　菊池寛記念館文芸講座

現在開催中！企画展のお知らせ

和田邦坊画業館コレクション展vol.４
讃岐の画家、和田邦坊 　　　
第１部　2021年5月1日（土）～7月25日（日）
第２部　2021年8月12日（木）～11月14日（日）
休館日　　火曜日・水曜日　※展示替え期間　2021年7月26日（月）～8月11日（水）        
場　所　　和田邦坊画業館/灸まん美術館
入館料　　一般500円、65歳以上の方・身体障害者手帳等をお持ちの方は300円  、小中高大生・無料
感染症の拡⼤防⽌のため、展覧会の中止または変更の可能性があります。 ご来館前に公式HPやお電話でご確認ください。また、マスクの着用とアルコール消毒にご協力ください。　

https://kyuman.art/event/exhibition/entry-335.html