初公開作品《屋島》昭和37年(1962)
| 作品・資料紹介
香川で描く。香川を描く。
初公開作品《屋島》 昭和37年(1962)
画題は、源平合戦で活躍した那須与一です。グッと力をいれて弓をひき、大きな目を見開いて冷静に的を見据えています。一方、与一を乗せる馬は荒ぶる戦場で戦意が昂った顔つきをしており、画面から身を乗り出すような存在感を放っています。太く勢いのある線とともに、与一を纏うカラフルな武具も作品の迫力を引き出しています。
また《屋島》に加えて《琴平》《栗林公園》《小豆島》もシリーズで制作されていました。残念ながら《栗林公園》《小豆島》は消息不明ですが、森の石松を描いた《琴平》は、美術館の隣にある「灸まんうどん」にて常設で展示しています。ぜひ合わせてご覧ください。※作品にある「㠀」は「島」の旧字体です
邦坊、讃岐をPRする
邦坊は、作品として絵画を制作するだけでなく店舗やイベントで飾るディスプレイ用の作品も数多く手がけています。店舗の場合は、内装もあわせてプロデュースしており、踊り場の階段があればその場所にふさわしい大きさと画題を考えて絵を仕上げていました。イベントの場合は、来場者の興味関心を考えて誰もが知る画題を選ぶということ意識していたようです。今回、初公開する《屋島》もイベントのために制作した1枚です。
《屋島》は、昭和37年(1962)全国で開催されていた香川県の物産展で展示していた作品ですが、デパートだけでなく熊本の博覧会でも披露されていました。香川県をPRするビジュアルとして全国各地の会場に彩りを与えていたことが分かります。
展覧会INFO
企画展 和田邦坊画業館コレクション展vol.4
讃岐の画家、和田邦坊 第2部
2021年8月12日(木)~11月14日(日)
休館日 火曜日・水曜日
https://kyuman.art/event/exhibition/entry-370.html