フクロウ迷子事件
| 学芸室より
迷子の発見、そして保護
先日、美術館のゲートを開けようとしたらフクロウの子どもを発見しました。どうやら夜の飛行練習のあと母フクロウとはぐれてしまい、いつの間にか朝になってしまった、、、という迷子でした。美術館のマスコットとしてずっといてほしいと思ったのですが、鳥獣保護法も頭によぎったので県に相談。それから、野鳥の会の専門家に来ていただき山へ還してもらいました。
モフモフの体毛、キュルルンとした瞳、パチパチとゆっくり瞬きする姿、すべての所作が可愛かったフクロウちゃん(短い付き合いでしたがフーちゃんと呼んでいました)。アオバヅクという種類で、夜になると母フクロウが「ほーほー」鳴いて子供を探すそうです。無事に親子が合流できますように。
邦坊が描いた鳥たち
保護に協力をしてくれたFさんは、近くにお住まいの野鳥の専門家。お礼をかねて美術館もご案内したのですが、ついでに邦坊が描いた鳥の絵を見ながら、いろいろ教えていただきました。例えばフクロウの名前「アオバヅク、オオコノハヅク、コノハヅク、トラフヅク、コミミヅク‥」。どうやら「~ヅク」という名前が多いようです。「琴平に住んでいた邦坊さんならオオコノハヅクを描いていたのかもね」という豆知識もいただきました。
邦坊の絵画は、スケッチや写真がもとになっていますが、必ずしも写実的に風景を描写しているわけではありません。しかし、モデルの名前(今回であれば鳥名)が分かると、絵画の見方も変わってくるものです。迷子事件のおかけで、改めて邦坊の作品は、美術的な視点だけでなく自然史の知識も楽しめる、そんな面白さを見出すことが出来ました。(ちなみに、モノクロの作品は、邦坊の旧宅にあった写真資料です。すべてではありませんが、販売や譲渡などをするときは、記録として写真を撮っていたようです。)
御礼
最後にひとつ御礼を。
フクロウ迷子事件に関しまして、様々な分野の方にご協力いただきました。
皆様のご厚意に感謝申し上げます。ありがとうございました。