ブログ

  1. ホーム
  2. ブログ
  3. 作品・資料紹介
  4. <作品紹介>芸術家・和田邦...

<作品紹介>芸術家・和田邦坊を育てた琴平の地

《七福神》

芸術家・和田邦坊を育てた琴平の地

琴平町で生まれた和田邦坊は、小学校に入学するまで賑やかな花街が続く街中で暮らしていました。幼い時から色っぽい芸者さんたちに囲まれ、強面の男たちの小競り合いを目にしていたといい、非日常の夢のような花街の世界も邦坊少年にとっては日常の風景として目にしていました。時事漫画家や小説家時代の作品をみると、地元琴平を舞台にした作品を数多く発表しています。故郷・琴平への愛着だけでなく、才能あるライバルたちと戦う武器として地元のエピソードを活かそうとしたのかもしれません。また、戦前に帰郷してからは、金刀比羅宮の絵馬堂に感化されたようで絵馬額の額装や板絵の作品も描くようになります。そして、絵馬堂にある鳥除けの金網からインスピレーションを受けて、絵の表側に金網を装飾として設えるという独自の絵画表現も生み出します。このように、琴平の歴史や文化は、芸術家・和田邦坊の創作活動において大きな影響を与えた地といえます。


《宝船》小槌や宝袋を積んだ船上をみると「金比羅宮御守」も積んでいます。どんぶらこと幸せを運ぶ宝船をみると御利益を感じることができかも…

《こんぴら樽》男たちが担いでいるのは奉納樽です。これは参拝できない人が海に奉納した樽で、それを代わりに持ち運ぶと御利益があると言われていました。

参考作品


《火作り道具》シリーズ
こちらは和田邦坊が額装をデザインした作品です。額装の名前は、火作り道具。船飾りで使うような隅金具が特徴的な意匠です。また作品の表に金網をかけたデザインも見どころのひとつ!これこそが絵馬堂でみた鳥除けの金網がヒントとなった形です。令和になってから絵馬堂も改修工事が始まり、いまは見ることはできませんが故郷の地で様々なインスピレーションを受けていたことが作品の形態からも分かります。

展覧会INFO


<和田邦坊画業館>
企画展・味な世の中―和田邦坊の眼差し―
第1部 2022年1月2日(日)~5月8日(日)
<休館日>火曜・水曜日
https://kyuman.art/event/exhibition/entry-415.html

このページで紹介した絵馬の作品は第1部で絶賛展示中です。琴平コーナーとして、歌舞伎絵(邦坊にしては珍しい模写作品!初公開)や遍路絵巻なども同じフロアで展示しています。ぜひ琴平を感じながら作品をご覧ください。
※参考作品として紹介している《火作り道具》は展示しておりません。